リノベーション実例

木挽座

製材所であるnojimokuでは設計者、工務店、消費者に向けて熊野の山から製材工場を順に案内し、木が丸太に、丸太が木材になっていく過程を見せることで、自分たちのものづくりや、品質へのこだわりを伝える「のじもくツアー」を20年間続けてきた。これまで抜けていた最後のピース「木材が建築と成った空間を見せたい」を実現するために立ち上がった企画が木挽座PJである。
製材技術とは丸太の目利きに始まり、どこにノコを入れるかによって節を避け、美しい柾目や中杢といった木目の木材を挽く技術。製材所の大規模化と機械化が進む近年、製材職人は減少、その技術が活かされるシーンも減少しているが、手入れされた三重の木の美しさを活かす為には高い製材技術が欠かせない。
そんな製材の奥深さとおもしろさを体感でき、木の良さを存分に感じられる建築、が木挽座のコンセプトである。
(nojimoku)

・新築の着工戸数が減り、回復の見込みがないという社会状況の中でリノベーションにおける内装・外装の木質化の利用拡大に寄与できる施設であること。
・ただ「木を多用しただけ」、「表面的に使っただけ」ではなく、木という素材の使い方として正当であり、その魅力を最大限伝えられる施設であること。
・地域に開き、地域の財産である三重の木を再度認知してもらえる施設であること。
・都市部の方に見ていただいても「田舎臭く」なく、「山小屋」のようだという印象を持たれない洗練された木の建物であること。
・表面的な取り繕いではなく、建物の性能を根本的に改善、向上させることでリノベーションの可能性を感じてもらえる施設であること。
上記5点を計画時のコンセプトとした。
施主がスクラップ&ビルドでの新築ではなく、地域の景色として馴染んでいた既存家屋をリノベーションすることを選択したことでリノベーション後も違和感なく地域の風景に溶け込んでいる。
建物の外装には三重の木を様々な形で張ることで地域の資源である三重の木をPRをするとともに、建物外装のメンテナンス時における木材利用という選択肢の提示、魅力の訴求に貢献したいと考えた。
また敷地は比較的交通量の多い道路の角地に位置している。敷地西側には信号のない横断歩道があり横断者も多い。
人々が立ち止まることの多い敷地角に地域の植生を反映した庭を整備することで通りすがりの人々だけでなく、地域に対するちょっとした潤い、憩いの場を提供できるようにと心がけた。
(神谷建築スタジオ)

  • 「木挽座」 2024年竣工
    所在地:三重県熊野市
    建築面積:123.2㎡
    延床面積:107.58㎡

    主な仕様
    外壁:桧小幅風羽目板 鉄媒染塗装、桧本実板 鉄媒染塗装、桧ファーサードラタン鉄媒染塗装、一部そとん壁スチロ鏝仕上げ
    屋根:既存和瓦葺き
    内部
    床:杉本実板t-30、桧本実板t-15、杉本実板t-30浮造り仕上げ 等
    壁:桧小幅風羽目板、桧こなみいた、桧鉄媒染、nojimokuパネル 等
    天井:HinokinoHi、こなみいた、桧小幅風羽目板 等
    サッシ:TW(LIXIL)
    断熱
    天井:高性能GW16kg t-120
    外壁:高性能GW16kg t-100
    床 :高性能GW16kg t-105

    設計・監理:神谷建築スタジオ
    施工:株式会社 檜作
    木材:株式会社nojimoku
    作庭:小笠原庭園
    撮影:今西浩文

    第3回みえの木建築コンクール 非住宅部門 特別賞
    

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